さけ  たい     はくきょい
         酒に対す  白居居 作

                  かぎゅうかくじょうなにごと  あらそ
  蝸牛角上争何事     蝸牛角上何事をか争う
                 せっかこうちゅう こ  み   よ 
  石火光中寄此身     石火光中此の身を寄す
                 とみ したが ひん したが しばら かんらく
  随富随貧且歓楽     富に随い貧に随い且く歓楽せよ
                  くち  ひら    わら       こ   ちじん
  不開口笑是痴人     口を開いて笑わざるは是れ痴人

【作者】白居易(772〜846)中唐の詩人.陜西省渭南県出身。白楽天とも云う。白居易の詩は分かりやすいと言われている。詩を作るたびに、一老婆にその詩を聞かせ、それが理解できるまで改作したと云う逸話があるほどである。

【訳意】世の中の人は、かたつむりの角の上の小さく狭い所で、一体何を争おうとするのか。火打ち石の火が発してすぐ消えてしまう、その一瞬の間に人はこの世に生きているようなものだ。だから、金持ちは金持ちなりに、貧乏人は貧乏人なりに、分に応じて、まあまあしばらく楽しむべきである。大きな口を開いて笑わない者はバカ者だよ。