墨田川の桜を屋形舟で楽しんできました。
秋の詩ではありますが、
どうしても「夜墨水を下る」を口ずさんでしまいます。



         よるぼくすい  くだ    はっとりなんかく
        夜墨水を下る  服部南郭 作

                  きんりゅうさんぱんこうげつうか
  金龍山畔江月浮     金龍山畔江月浮ぶ
                 こうゆ     つきわ   きんりゅうなが
  江揺月湧金龍流     江揺らぎ月湧いて金龍流る
                 へんしゅうとど    てんみず ごと
  篇舟不住天如水     篇舟住まらず天水の如し
                  りょうがん しゅうふう にしゅう くだ 
  兩岸秋風下ニ州     兩岸の秋風ニ州を下る

【作者】服部南郭〔1683〜1759〕江戸時代中期の漢詩人。京都出身。14歳の時、江戸に来り、16歳で柳沢吉保に仕えた。壮年に及び、吉保が荻生徂徠を知遇して居たことから、その門に入り、古文辞を修めた。人格は温厚磊落、交友も広く、当時の諸侯から招かれることが多かった。晩年は特に肥後候に重用された。詩文はもとより、和歌、絵画 に才能を発揮した

【解説】秋夜月明の下、舟で墨田川を下った折の景を述べたもの。

【通訳】浅草待乳山のほとりの隅田川には、折しも澄みわたった月影が、いともあざやかに浮んでいて、川の流れが揺らぐにつれ、月光が湧き出て、あたかも竜が流れているようである。自分を乗せた小船はただ一色、空や水ともわかぬ水路を両岸から吹きくる風に送られて、止まるところを知らずに流れ下って行く。